こんにちは、化学系研究職で主婦の松坂 澪 (@matsuzakamio)です。Chemi-jyo(けみじょ)をご覧いただき、ありがとうございます。本サイトでは、理系主婦が感覚的にとらえて、論理的に考察・検証したことを中心にまとめています。
掃除で使うアルカリ電解水「水の激落ちくん」がキケン!という意見を見かけました。本当?
化学系の大学院を卒業した研究職の見解としては「強アルカリ性だから使う時は素手で使わないでね。アルカリ電解水でキレイにした製品にアルカリ成分が残ることはないから不安になる必要はないよ」です。
アルカリ電解水
- 使う時は注意! 強アルカリなので取り扱い注意。
- 使った製品にはアルカリは残らない。
目次~ポチっと飛ぶ~
アルカリ電解水は水ではない
アルカリ電解水は「食塩”水”を”電解”してできた水酸化ナトリウム水溶液」という”アルカリ”性の液体です。
食塩水からできているからといって、安全ではありません。
理由は簡単で、”電解”という化学変化で全くちがう物質になっているからです。
例えば、どんなにおいしいカボチャだからといって、焦がして炭になってしまったら、いくら元がおいしいかぼちゃだからといって、おいしくはありませんよね?
焼きすぎることで、”炭”という別の物質になっているからです。
専門的な話(脱線しているから飛ばしてもOK)
アルカリ電解水の作り方を専門的な用語を使って表すと以下のようになります。
NaCl + H2O → NaOH + 2HCl
塩 水 アルカリ電解水
特に大事な話ではありません。エビデンス程度です。
専門的な化学式でそれっぽく解説しているサイトもありますが、論点がずれていたりすることもあります。
専門用語で解説していたからといって、必ずしも正しいことを言っているとは限らないので、注意してください。
じゃあ、アルカリ電解水は危険なの?
アルカリ電解水は水酸化ナトリウムのアルカリ性の強い洗剤なので危険です。
他のトイレのサンポールのような強い洗剤と何ら変わりません。
素手で触ると、手が侵されます。皮膚の表面が溶けるので、ぬるっとすると思います。
アルカリ電解水は素手で使ってはいけません。手袋をして使ってください。
目にも入ったらキケンです。目に入らないようにゴーグルをつけるなど、対策を行う必要があります。
もちろん、飲んでもいけません。
水酸化ナトリウムは皮膚を溶かすくらい強いので、除菌や殺菌の効果のある洗剤として使えるという原理です。
アルカリ電解水をベビー用品につかったらキケンなの?
安心してください。アルカリ電解水を吹きかけたものにアルカリ(水酸化ナトリウム)が残ることはありません。濃縮とかもされません。
理由は、アルカリNaOH(水酸化ナトリウム)は空気中の二酸化炭素と反応して、重曹すなわちベーキングパウダーに変わるからです。
NaOH+CO2 → NaHCO3
水酸化ナトリウム 二酸化炭素 重曹(ベーキングパウダー)
アルカリ電解水で拭いたものにアルカリ(水酸化ナトリウム)がずーっと残っていることはありません。
もちろんアルカリ電解水を吹き付けた直後に一瞬にして重曹に変わるわけではないので、使用時には気を付けてつかってください。少なくとも湿っている時はまだ危ないです。
厳密には、アルカリ電解水で拭くと重曹が残ってしまうので、気になる方は二度ぶきをした方が良いと思います。
この辺は、他の界面活性剤系の洗剤も拭いた後は、界面活性剤が残ってしまうので、二度ぶきをした方が安心なのと、変わらないと思います。
少量のベーキングパウダーが残っているのがイヤという方は、水ぶきで二度ぶきをしてください。
自然にやさしいのは残留物がないからかな?
アルカリ電解水が「自然にやさしい、天然掃除」として紹介されるのは、使った後に界面活性剤や強い成分が残らないからだと思います。
界面活性剤は使用後も残るものが多いですし、トイレの酸性洗剤なんかも使用後もある程度強さが残っている洗剤なので。
使用後に急激に弱くなる洗剤で、食品にも使われるような成分へ変化する点が「自然に負荷をかけにくく、自然にやさしい洗剤」と言われているのだと思います。
決して、アルカリ電解水=水だから、自然に優しいというわけではありません。
正しく使えば安全なので、不必要にこわがらなくても大丈夫
確かに、アルカリ電解水は強い洗剤なので、使う時は気をつけてください。
でも、他の洗剤と一緒で正しく使えば安全なので、不必要に怖がらなくても大丈夫ですよ。
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